東北:風土・人・くらし展
東北:風土・人・くらし展
会場:クラシックフォトギャラリー
住所:サヴィンスカヤ・ナベレジナヤ、23/1
主催者:国際交流基金、クラシックフォトギャラリー
お問い合わせ:
+7 495 510-77-13/14 (クラシックフォトギャラリー)
+7 (495) 626-55-83/85 (国際交流基金モスクワ暫定事務所)
開館時間: 水~日、12時~21時
入場料: 一般-300ルーブル、学生-200ルーブル、特別-150ルーブル
東北地方は日本列島の最大の島、本州の北東部を占める地域で、青森県、岩手県、秋田県、宮城県、福島県の6県からなる。気候的にはやや寒冷だが、海、山、川、森など美しく豊かな風土に恵まれている。日本に古代人が定住し始めた約15000〜3000年前の縄文時代には、独特の縄目模様の土器で知られる縄文文化がこの地域を舞台に花開いた。だが、西方の奈良や京都に政治や文化の中心が移ると、東北は遅れた未開発の地域として中央政権の支配下に置かれる。それでもこの辺境の地には、縄文文化の伝統を受け継ぐ生命力あふれる精神文化がずっと保ち続けられてきた。
その東北地方を中心に、2011年3月11日にマグニチュード9・0という大地震が襲った。死者・行方不明者あわせて2万人に迫るという大きな被害を出したこの大震災と、直後の福島第一原子力発電所の危機的な事故については、多くのメディアで報道され、東北の県や都市の名前も耳に馴染んだものになった。だが、東北の気候・風土・歴史、そしてそこで人々がどんな暮らしをしているかについては、ほとんど知られていないのではないかと思う。
本展はその東北を撮影した10人(9人+1組)の写真によって構成される。1950〜60年代の農村を撮影した千葉禎介、小島一郎、東北各地の民俗儀礼や祭りなどを追った芳賀日出男、内藤正敏、田附勝、自らの個人史と故郷の光景を重ね合わせる大島洋、畠山直哉、東北の美しい自然にカメラを向ける林明輝、縄文時代の遺跡を通じて日本人の精神の起源を探る津田直の作品、そして伊藤トオルをリーダーに、宮城県仙台市の「無名の風景」を集団で撮影した「仙台コレクション」のシリーズである。
これらの写真には東北のさまざまな顔が写り込んでいる。優れた表現力を備えた日本の写真家たちの作品を見ることで、あまり馴染みのない東北地方がより身近なものになることを願っている。