第15回国際知的見本市non/fiction
国際交流基金と出版文化国際交流会(PACE)が共同で日本ブースを出展し、漫画から文学、雑誌にいたるまで最新の日本の出版文化を紹介します。作家の加賀乙彦さんと古川日出男さんのロシア語出版記念イベントを実施します。
【日程】11月27日(水)~12月1日(日)
【場所】中央芸術家会館 (クルィムスキー・ヴァール, 10)
【入場料】図書展全体の入場チケットをチケット売り場でご購入ください。
【国際交流基金ブース】I-6(2階、セミナーゾーン№1の隣)
【文学イベント】
11月27日(水) 図書展内文学カフェ(Литературное кафе)にて(2階)
16:00 加賀乙彦(作家)×沼野充義(東京大学教授)対談
テーマ:「『宣告』の創作について」
17:00 古川日出男(作家)×アレクサンドル・チャンツェフ(文芸評論家)対談
テーマ:『ベルカ、吠えないのか?』‐世界の一部としてのロシア、世界の一部としての日本-歴史的事実で組みあげた、徹底的なフィクション
【プロフィール】
加賀乙彦(かが おとひこ)
本名は小木貞孝(こぎ さだたか)。1929年東京生まれ。1953年東京大学医学部卒業。精神医学を専攻。大学卒業後、東京拘置所医務部技官として勤務。1957年からフランスに3年間留学。帰国後医学博士号を取得し、東京大学附属病院精神科に勤務。犯罪心理学を担当し、様々な大学で教鞭をとる。
1960年代半ばごろより執筆を始める。1968年、長編『フランドルの冬』の第一章を太宰治賞に応募し、候補作として『展望』に掲載されるが、その後全体を刊行、芸術選奨新人賞を受賞し、5年後の1973年には『帰らざる夏』で谷崎潤一郎賞を受賞。1979年から文筆に専念。1982年第2次世界大戦についての歴史小説『錨のない船』を出版。英語に翻訳され、高い評価を得る。
1987年、カトリックの洗礼を受ける。1998年に『永遠の都』で第48回芸術選奨文部大臣賞受賞。2011年、文化功労者。2012年、『雲の都』(全5巻完結)により毎日出版文化賞特別賞を受賞。
『宣告』は1997年に発表され、日本文学大賞を受賞。
古川日出男(ふるかわ ひでお)
1966年福島県生まれ。小説家。2002年に『アラビアの夜の種族』で推理作家協会賞と日本SF大賞というジャンル小説の賞を、2006年に『LOVE』で三島由紀夫賞という純文学系の文学賞を受賞し、既存の枠組みに収まらない作家として知られる。2005年、『ベルカ、吠えないのか?』で第133回直木三十五賞候補。2008年に東北六県のおよそ700年間の歴史を力業とも言えるボリュームで描き出した『聖家族』を発表。東日本大震災後には、2011年3月から5月までを混乱と動揺と真摯な願いのままに小説化した『馬たちよ、それでも光は無垢で』を上梓し、同作は刊行後二年を待たずフランスでも翻訳出版された。最新作は『南無ロックンロール二十一部経』。2013年に生地の福島県郡山市にフリースクール「ただようまなびや 文学の学校」を開校、学校長を務める。
朗読活動も積極的に行い、CDブック『春の先の春へ』をはじめとするCD、DVDも発表。また、菅啓次郎(すが けいじろう、詩人)、小島ケータニーラブ(音楽家)、柴田元幸(翻訳家)との共同プロジェクトとして朗読劇「銀河鉄道の夜」(宮沢賢治)を製作し、2012年末より国内各地で上演する。
1954年生まれ。東京大学現代文芸論研究室教授。専門は、ポーランド、ロシア文学、翻訳者。現代日本文学にも関心が深く、文芸時評にも携わる。2009年より、日本ロシア文学会会長(2009~2013年)。現在Japanese Book News 編集委員を務める。2002年 に『徹夜の塊』でサントリー学芸賞芸術・文学部門受賞、2004年 『ユートピア文学論』で第55回読売文学賞を受賞。ロシア文学、ポーランド文学について多数の著書・翻訳があり、日本文学の外国語訳に関連した事業などにも参加、ロシア・ポーランドと日本の文化交流・大学間交流などに携わっている。
アレクサンドル・チャンツェフ
文学博士。国際科学技術センター(日本部)プログラム長
1978年モスクワ生まれ。モスクワ国立大学アジア・アフリカ諸国大学文学部大学、修士、博士課程修了。1999-2000年、龍谷大学(京都)留学。文学博士(論文テーマ「三島由紀夫の美学と西欧の美の観念」)。
様々な日本関連団体で、日本語と英語の通訳として働く。2008年から、国際組織の日本部に勤務。修士論文も三島由紀夫の美学について。三島由紀夫の作品とエドゥアルド・リモーノフについての著作「美の反乱」は、プレスで25以上の反響があり、「独立新聞 Ex Libis」による2009年のすぐれたノンフィクション作品の25位以内に入った。
「新文学評論」誌、「新世界」誌、「10月」誌、「文学の諸問題」誌、「書籍評論」紙、ウェブサイト「視点」、「Booknik.ru」、「特派員」、「日本」誌、「週刊誌」、「独立新聞 Ex Libris」紙、インターネットジャーナル「トポス」、「プーシキン」誌などに記事を書く。現在、「新世界」誌と「新文学評論」誌に定期的に記事を書き、ウェブサイト「特派員」のコラムニスト。チャンツェフの論文は英語と日本語でも発表されている。