REANIFESTアニメーションフェスティヴァル:日本アニメーションのニュー・ウェーヴ
日本アニメーションフェスティヴァル(REANIFEST)の一環として、若手アニメーション作家の短編アニメーション特集を実施します。ゲストとして、アニメーション作家の大山慶さん、橋本新さん、アニメーション研究家の土居伸彰さんが参加します。
場所:映画館「35mm」大ホール
上映日程
11月4日(日) 17:00 上映後 Q&A
11月5日(月) 19:00 上映後 Q&A
チケットは映画館のチケット売り場でお買い求めください。
【上映作品】
『空の卵(A Wind Egg)』大川原亮(Ryo Okawara) 2012 / 10’30”
『PiKA PiKA in INDNESIA』トーチカ(Tochka) 2008 / 2'20”
『ベルーガ(Beluga)』橋本新(Shin Hashimoto) 2011 / 5’30”
『春のしくみ(The mechanism of spring)』和田淳 (Atsushi Wada) 2010 / 4'20"
『MODERN』水江未来(Mirai Mizue) 2010 / 6'40”
『Maggot』銀木沙織(Shiroki Saori) 2007 / 2’45
『アニマルダンス(ANIMAL DANCE)』大川原亮 (Ryo Okawara) 5’10”/ 2009
『診察室(Consultaion Room)』大山慶(Kei Oyama) 2005 /9’00”
『JAM』水江未来 (Mirai Mizue) 2009 / 2’46"
『指を盗んだ女 (Woman who stole fingers)』銀木沙織(Shiroki Saori) 2010 /4’15”
『そういう眼鏡』和田淳 (Atsushi Wada) 2007/5'40"
『STEPS』トーチカ(Tochka) 2010 / 2’00"/
『葬儀屋と犬(The undertaker and dog)』橋本新(Shin Hashimoto)2010 / 3’40”
『ゆきちゃん(Yuki-chan)』大山慶(Kei Oyama) 2006 / 5’00"/
『AND AND』水江未来 (Mirai Mizue) 2011 / 7’00”
『グレートラビット(The Great Rabbit)』和田淳(Atsushi Wada) 2012 / 7'10"
【作品情報】
空の卵 A Wind Egg 大川原亮 10’30”/ 16:9/ 2012
小さな養鶏所を営む家族の話。少年は鳥に憧れている。妹はそんなアニを監視している。父は卵を愛している。母は違う誰かを愛していた。家族という切り離せない関係の中で、それぞれが隔たりや秘密を持ちながらそこにあり続ける。
PiKA PiKA in INDONESIA トーチカ 2'20”/ 2008 / 4:3
この作品は国際交流基金主催の“KITA!! Japanese Artists Meet Indonesia,”での展示のために制作された。バンドンの駅やバス停などで撮影されたものである。音楽はガムラン奏者のジンボットが担当。
べルーガ Beluga 橋本新 5’30” / 2011/ 16:9
貧乏な少女は彼女の夢の中でさえも苦しんでいる。
春のしくみThe mechanism of spring 和田淳 Atsushi Wada /4'20"/2010/4:3
誰でも一年に一度はおそわれるという春のウズウズ感。この春のウズウズ感のメカニズムの解明に果敢に挑んだ研究アニメーション。
MODERN水江未来 Mirai Mizue /6'40/2010/16:9
六面体が変形をし続ける。
他には何も起こらない。
MAGGOT 銀木沙織 2’45/ 16:9/ 2007
箱を開け、少年は、まるで実験室で内臓を取り出されたように大きく胃が開かれたウサギの死骸を発見する。
アニマルダンス Animal Dance 大川原亮 5’10”/ 4:3/ 2009
生命の躍動を表現した手書きアニメーション。生きる上での動作、行為を全てダンスと捉え、音楽と同期させた。イメージの可視化やその連鎖、形態の変容など、平面アニメーションの特徴を活かした作品。
診察室 Consultation Room 大山慶(Kei Oyama) /9min/2005/4:3
診察室で自分の内臓写真を見た男は、幼い頃を思い出す。
クローズアップ写真のコラージュという独特の技法を用い、「死」「身体」「記憶」について表現した作品。
JAM 水江未来 2009 / 2’46" / 16:9
サウンドが重なる。イメージが重なる。やがて画面はぐちゃぐちゃになる。
指を盗んだ女 Woman who stole fingers 銀木沙織 4’15”/ 16:9/ 2010
ある日、母の手を離した少年は指を奪われてしまう。母が指を撫でると、少年の指は幼虫に変わり彼の手を離れていく。家は二人の関係を隠すように佇んでいる。指を奪われた子供は、はたしてどのように成長するのだろうか。
そういう眼鏡 Well, that’s glasses 和田淳 Atsushi Wada /5'40"/2007/4:3
素材、由来、意味、価値。眼鏡に対する疑問が浮かんだ時はこう解決すればいい。「これはそういう眼鏡なのだ。」と。
STEPS トーチカ 2’00"/ 16:9/ 2010
市松模様の部屋に階段が現れる。
状況に適合しようとする若い男と、それをあざ笑う棒人間の闘争。
葬儀屋と犬 The Undertaker and the Dog 橋本新 2010 / 3’40” / 4:3
昔々あるところで葬儀屋は貧乏な犬に出会う。 彼は骨をあげることにした。
ゆきちゃん YUKI-CHAN 大山慶 5’00"/ 16:9/ 2006
地面に這うミミズを見つめる少年。突然現れた母親らしき女に手を引かれ家の中に入ると、そこには女の子が横たわっている。
オムニバスアニメーション「Tokyo Loop」のために制作された作品。
AND AND 水江未来 Mirai Mizue /7’00”/2011/16:9
集まろう!一緒に世界を作ろう!
グレートラビット The Great Rabbit 和田淳 7'10"/ 16:9/ 2012
かつて我々は自分たちとは違う、崇高で深遠で神秘的な存在をグレートを付けて呼んでいた。時代はすすみ思考や思想がそれまでのものと変わった今、未だにグレートと呼ばれ続けるその存在のグレートたる由縁は何なのか。
【ゲスト情報】
Kei OYAMA
クローズアップ写真のコラージュという独特の手法により、オリジナリティの高い表現を確立。『診察室』(05)がカンヌ国際映画祭監督週間にて上映、アルスエレクトロニカ佳作を受賞。『HAND SOAP』(08)がオランダ国際アニメーション映画祭グランプリ、広島国際アニメーション映画祭優秀賞、オーバーハウゼン国際短編映画祭映画祭賞など、歴史ある数々の国際映画祭で多数受賞。
Shin HASHIMOTO
ヘタウマなキャラクターを自由自在に動かすダイナミックなアニメーション作品を制作。『グレートジャーニー』(07)がCO2優秀賞他受賞。『葬儀屋と犬』(10)がオタワ国際アニメーション映画祭などに入選し、『ベルーガ』(11)ではザグレブ国際アニメーション映画祭で特別賞を受賞。イラストレーターとしての評価も高く、モスクワ国際グラフィックデザインビエンナーレに入選した経歴を持つ。
Nobuaki DOI
1981年東京生。日本学術振興会特別研究員、東京造形大学非常勤講師。アニメーション研究・評論。ユーリー・ノルシュテインを中心とした短編アニメーション作家の作品の理論的研究を行う傍ら、評論サイトAnimations Creators & Criticsや自主レーベルCALF運営など、世界中の優れた短編アニメーションを紹介する活動も積極的に行っている。共著に加藤幹郎編著『アニメーションの映画学』(臨川書店、2009年)、訳書にクリス・ロビンソン『ライアン・ラーキン やせっぽちのバラード』(太郎次郎社エディタス、2009年)、編著に『ドン・ハーツフェルト』(CALF、2012年)など。
【そのほかの上映作家情報】
銀木沙織
Saori SHIROKI
「ペイント・オン・グラス」と呼ばれる、ガラスの上で油絵具による描写を繰り返しながら撮影する特殊なアニメーション技法を得意とし、情念溢れる人物描写で観る者を引きつける。抑制された色合を用いながらも、画面から息遣いが聞こえてきそうなほどに濃密な時間を展開させる表現力を持つ。代表作『指を盗んだ女』(10)はアヌシーや広島といった主要なアニメーション映画祭をはじめ、数多くの国際映画祭で上映された。
大川原亮
Ryo OKAWARA
卓越したグラフィックセンスを武器に、鉛筆、水彩、墨汁など、様々な画材を使いこなし、躍動感あふれるリズムカルなアニメーションを制作。『Orchestra』(08)が飛騨メルヘンアニメコンテスト優秀賞、『アニマルダンス』(09)が文化庁メディア芸術祭奨励賞を受賞。『空の卵』(12)はアヌシー国際アニメーション映画祭をはじめ、多くの国際映画祭で上映されている。
和田淳
Atsushi WADA
「気持ちのいい間・動き」をテーマに、繊細な描線。囁くようなサウンドで観るものを惹きつける作品を制作。『鼻の日』(05)がノーリッチ国際アニメーション映画祭グランプリ、『わからないブタ』(10)がファントーシュ国際アニメーション映画祭最優秀賞、文化庁メディア芸術祭優秀賞など多数の映画祭で受賞。『グレートラビット』(12)はベルリン国際映画祭で銀熊賞(短編部門)を受賞し、注目を浴びる。
トーチカ
Tochka
ナガタタケシとモンノカヅエによるクリエイティブユニット。空中にペンライトの光で絵を描くことでアニメーションを作る「Pika Pika」シリーズをワークショップという形で様々な国を舞台に制作。オタワアニメーション映画祭特別賞、文化庁メディア芸術祭優秀賞、クレルモンフェラン短編映画祭グランプリなど、受賞多数。
水江未来
Mirai MIZUE
細胞や幾何学模様などをモチーフに抽象的なアニメーション作品を多数制作。『DEVOURDINNER』(08)がアニマドリード準グランプリを受賞。『MODERN No.2』(11)はベネツィア国際映画祭オリゾンティ部門にノミネートし、アヌシー国際アニメーション映画祭では音楽賞を受賞。山田悠介『ブレーキ』の表紙、小説すばるにて平山夢明の扉絵を手がけるなど、イラストレーターとしても活躍。