現代日本文学のロシア語翻訳の現在と未来
第4回JLPP翻訳コンクール 記念講演
「現代日本文学のロシア語翻訳の現在と未来」
日本国文化庁は、現代日本文学の海外への発信・普及を推進するために、JLPP翻訳コンクールを開催しています。現在開催中の第4回翻訳コンクールでは、ロシア語翻訳を募集しています。
それを記念して、国際交流基金との共催で、日本文学研究の第一人者、メシェリャコフ教授や沼野充義教授、芥川賞作家である柴崎友香氏、日本文学を多く出版しているロシア出版社による講演を開催します。
日本文学翻訳の魅力や現状について、研究者や作家、出版社の様々な視点から論じます。
日時:2019年2月19日(火) 18:30〜20:30
場所:ロシア国立歴史図書館
(Starosadskiy pereulok, d.9, str.1)( Старосадский переулок, дом 9, стр. 1)
入場:無料(事前登録は必要ありません。直接会場までお越しください)
当日パスポートをご持参ください
プログラム:
第一部 「芥川賞作家・柴崎友香、自作を語る」
作家/柴崎友香
第二部 「近現代日本文学の翻訳 — その流れと重要性」
アレクサンドル・メシェリャコフ(高等経済学院教授、日本文学研究者)
沼野充義(東京大学教授、現代文芸論・スラヴ文学研究者)
第三部 「ロシア出版社からみた現代日本文学」
エクスモ社、イスタリ・コミックス社
プロフィール
●柴崎友香(しばさき ともか) 芥川賞作家
1973年生まれ。1999年短編「レッド、イエロー、オレンジ、オレンジ、ブルー」でデビュー。本作所収の単行本『きょうのできごと』が2000年に刊行され、2003年に映画化された。2007年『その街の今は』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、織田作之助賞大賞、咲くやこの花賞受賞、
2010年「寝ても覚めても」で野間文芸新人賞授賞。2014年『春の庭』で芥川賞受賞。2018年に「寝ても覚めても」が映画化され、カンヌ国際映画祭に出品された。その他、小説作品に『ビリジアン』『パノララ』『わたしがいなかった街で』『週末カミング』『千の扉』、エッセイに『よう知らんけど日記』『よそ見津々』など著書多数。
柴崎友香は、淡々とした日常生活の中のふとした心の動きや人間模様を丁寧に観察して、見過ごしそうな漠然とした気持ちや不安をゆったりと描き出していることが特徴とされている。
著書はロシア語、英語、ドイツ語で翻訳出版されている。
【英訳】
— Spring Garden (『春の庭』Polly Barton訳)2017年、Pushkin Press
— The Seaside Road(「海沿いの道」Ted Goosen訳)Monkey Business: New Writing from Japan Volume 2, 2012)
【ドイツ語訳】
— Fruehlingsgarten:Roman(『春の庭』, Daniela Tan訳)、Bebra Verlag, 2018
【その他】
中国語繁体字 聯経出版事業股份有限公司
中国語簡体字 人民文学出版社有限公司(翻訳中)
韓国語 EunHaengNaMu Publishingフランス語 Phillipe Picque
ドイツ語 be.bra verlag
ロシア語 SYMPOSIUM PUBLISHING HOUSE
スペイン語 QUATERNI(翻訳中)
オランダ語 Zirimiri Press(翻訳中)
●沼野充義(ぬまの みつよし)
1954年生まれ。東京大学教授、現代文芸論・スラブ文学研究者、日本ロシア文学会会長。 専門はロシア、ポーランド文学。 第1回、第2回、第3回JLPP企画委員。東京大学にJLPP文庫開設。 文芸評論活動や日本文学の外国語訳に関連した事業などにも参加し、ロシア・ポーランド と日本の文化交流・大学間交流などにも積極的に関わっている。 受賞歴:2002年『徹夜の塊』でサントリー学芸賞芸術・文学部門、2004年『ユートピア文 学論』で第55回読売文学賞受賞。 主な著書:『W文学の世紀へ―̶境界を超える日本語文学』(五柳書院)、『世界文学から /世界文学へ 文芸時評の塊 1993-2011』(作品社)、『チェーホフ 七分の絶望と三 分の希望』(講談社)他多数。
●アレクサンドル・メシェリャコフAlexander Mesheryakov
歴史学博士。高等経済学院東洋文化・古典古代研究所教授。
日本の歴史、文化、文学についての300以上の著作及び多くの翻訳を出版。2012年、著書「明治天皇と彼の日本」で「啓蒙者」賞受賞(ロシア)、2015年には、日本とロシアとの相互理解の促進に対する功績に対して外務大臣賞受賞(日本)。
●「現代日本文学の翻訳・普及事業」について
(Japanese Literature Publishing Project <JLPP>)
現代日本文学の翻訳・普及事業(JLPP)は、2002年に日本国文化庁が現代日本文学の海外への発信・普及を推進するために立ち上げたプロジェクトです。
明治(1870年代)以降に発表された現代日本文学作品の中から専門家による会議において選定された作品を、さまざまな言語(英語、露語、仏語、独語、インドネシア語)に翻訳し、2015年までに約180タイトルが翻訳出版されました。これらの作品は、各国出版社を通じて一般書店で発売されることはもとより、各国の図書館・大学をはじめとする多くの文化機関にも寄贈してきました。
ロシア語版として、38作品が出版されました。
※JLPP公式ホームページ http://www.jlpp.go.jp